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君に届くまで

第3章 手当て





夢を見ていた。


この夢は知っている。
もう何度も見ている。

誰かと戦っている。
誰かなんて知っている。
かつての友だ。

「リヨク!」

呼びかけても答えない。
本当に戦うしかないのか、道は残されていないのか。
自問自答するも出る答えはいつも一緒だった。

戦うしか道はない。もう引き返せない。

結末もいつも同じだ。
覚悟を決めた次の一手でリヨクがクナイを下げる。
私が驚く暇もなく、向けていたクナイがリヨクの喉元に深々と突き刺さり、リヨクは口から血を吐く。

リヨクはそのまま崩れ落ち、クナイから手を離す事ができなかった私も体勢を崩した。

リヨクは私の両手を握ると、懸命に声を振り絞り
生きろ、と一言告げ絶命した。

何も出来なかった。
そのまま、呆然とリヨクが冷たくなっていくのを見ていた。

何も考えられなかった。
ただ、”生きろ”という言葉だけが頭の中で繰り返される。











ふと、目が覚めると知らない天井が目に映る。
体は縫い付けられた様に動かす事が出来ず、蒸し焼きにされたように熱い。
頭がくらくらする。
なんとか首と目を動かし場所を確認する。
あの屋敷の中なのだろか。

障子の外が明るい。まだ然程時間が経っていないのか。
なんにせよ、寝かせてもらえたのは有り難い。
今のうちに体力を回復しなければ。

また意識が微睡み始めた。もう何も考えずに寝てしまおう。

そう思い、誘われるまま意識を手放した。
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