第2章 時空を超えて
「…助け、て…。」
か細い声でそう呟くと、そのまま目を閉じてしまった女を5人は暫く見つめていた。
「…本当に新しい審神者ではないんでしょうか?」
「だとしても、こんな瀕死の人間を寄越すかな?いくら政府でもそれはしないんじゃない?」
「わからないぞ。そう見せかけて実は、って事だってあり得る」
「どうでもいいが、どうするんだ?これ。」
5人は再び困ったように顔を合わせた。
ふと眼帯の男がしゃがみ込み、女の首下に手を差し入れ抱き起こす。
女は痛みからか、小さく呻き声を上げて眉を顰めた。
眼帯の男は少し目を見開く。
ー本当だったのか。
「この人、凄い熱だよ。」
どれどれ、と白を基調とした人が女の額に手を当てる。
確かに凄い熱だ。
「確かに高いな。」
そのまま手を口元に持って来て考え込む。
「どうする?」
赤と黒を基調とした人が問う。
「広間はどうだ?今は誰も使っていないだろう。」
肌の浅黒い人が言う。
「とりあえず、空いている布団を引っ張り出して来て、広間に寝かせておきましょうか。」
5人は無言で頷き合うと、それぞれ散っていった。