第80章 五稜郭にて
そう間を置かずして、司会者が様子を悟り口を開いた。
「それでは、読み終わった様なので、改めて説明させていただきます。
今回、異常の報告が上がったのは、ご覧のとおり関西地区が非常に多くなっています。そして、消えた刀剣は加州清光、大和守安定、和泉守兼定、堀川国広と新撰組浪士の所有する刀である事がお分かりいただけると思います。」
それを聞いた審神者達に、響めきが広がった。
「報告が上がった当初は、江戸時代末期の任務に失敗すると、新撰組に付随する刀剣の内、一人或いは二人が忽然と姿を消してしまう、といった内容でした。
しかし、最近では任務を請け負っていないにも関わらず姿を消してしまう報告が相次いでおります。原因は一切分かっておらず、未だ調査中です。」
そこで言葉を切ると、その女性は後ろを振り向き、誰かに頷く合図を送る。
そちらを見ると、七海が控えていた。
レンは、彼女の姿を見て片眉を上げた。
「…七海さんも関係者、ってことですかね?」
「そうみたいだね。」
昨日の電話では、手を貸してほしいと言っていた。
だが、原因も分からない謎の多い案件に自分の出る幕はあるものだろうか、とレンは訝しむ。
「調査班代表の者です。現段階での報告をさせていただきます。
刀剣が消える現象は、1864年に起きた池田屋事件前後に関係があると思われます。
特に加州清光、大和守安定が消えてしまう本丸が多く、その原因としては、新撰組の歴史が変わってしまい、修正が出来ない為と考えられます。
何故、その様な現象が起こるのかは調査中であり、また、その調査に向かわせた刀剣が消えてしまう事が相次いで、未だ解明に至っておりません。」
それを聞いた審神者達に、そんな、という声が上がり、不安な声が響めきと共に広がっていく。
「その為、人員確保に困窮しております。そこで、私達は有志を募ろうと考えました。」
七海はそこで言葉を切ると、会場を見渡した。
「誰か手を貸してくれる方はいませんか?」