第80章 五稜郭にて
ーまぁ、あの人の事だから悪い様にはならないだろう。
レンはそう思い直し、明日からの予定を組み直す事にした。
「山姥切、先に明日、明後日の予定を組んでしまいましょう。」
「説明会と言っていたな。一大事なのか?」
山姥切が、少し不安気な視線をレンに投げるが、彼女は至って平然と構えながら首を傾げた。
「さぁ…?行ってみないと何とも言えませんね。」
レンはそう言って肩を竦めてから、近侍の当番表に目を向ける。
「明日の近侍は確か堀川でしたね。」
現代に行くのであれば、出来るだけ古株を連れて行きたい、とレンは思う。
自身とてこの国に慣れているわけではないからだ。
二人してあたふたと右往左往するのは避けたいところ。
ー誰を連れて行こうか…。
レンは、暫し逡巡してから一人の人物に目を留めた。
「山姥切、燭台切を探してきてください。」
「明日の近侍にするのか?」
「はい。現代への付き添いは光忠にしてもらいます。」
「分かった。」
山姥切は返事を返すと、麻布を目深に被り席を立った。