第78章 番外編1
くしゅんっ!
レンは寒さにぶるりと体を震わし、身を縮める。
「風邪ひくぞ。」
鶴丸は自分の上着を脱ぐと、レンに掛けてやる。
レンは、鶴丸の温もりが残る上着に思わずどきりとした。
「あ、ありがとう、ございます。」
「どういたしまして。さて、そろそろ戻るか。」
鶴丸はそう言うと、立ち上がった。
それに倣ってレンも立ち上がる。
「鶴さんは寒くないですか?」
レンは、戻るのなら、と上着を返そうとするが、鶴丸は彼女の手に自身の手を重ねて首を横に振る。
「レンが着ている方がいい。風邪をひいたら事だしな。」
それを聞いて、レンは憮然とする。
「入院しないなら、私だってちゃんと病院行きますよ。」
「ははっ。どうだかな。」
鶴丸は優し気に目を細めると、レンの頭を撫でる。
「…じゃあ、お借りします。」