第78章 番外編1
“少し出てくる。”
戻ってきたレンは、残された大倶利伽羅の伝言を見ると、窓辺から下を覗いた。
そこには廊下が見えるだけで、人の気配はない。
おそらく下の部屋にも、誰もいないのだろう。
「大丈夫かな…。」
レンは大倶利伽羅を案じて呟いた。
すると、そこへ獅子王が慌てて飛び込んで来た。
「レン!大変だ!第一部隊が負傷して帰って来た!」
それを聞いたレンは弾かれる様に立ち上がり、血相変えて部屋を飛び出した。
獅子王もレンの後を追いかける。
レンが真っ直ぐ手入れ部屋へと駆け込むと、燭台切が既にいて、手入れの準備をしているところだった。
「レン、すまない。俺達を庇って鶴丸が…。」
骨喰が俯いてレンに報告する。
その彼も所々服が破れて血が滲んでいる。
「検非違使が出たんだ。練度の差が仇となって負傷者が出ちゃって。」
「ボク達は軽症だけど、鶴丸がみんなをカバーした分怪我が酷くて。」
加州と乱も薄汚れていて、頬や足に傷を作っていた。