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君に届くまで

第78章 番外編1



大倶利伽羅が広間を通りかかると、そこには以前からあったらいいな、と思っていたハンギングチェアが置かれていた。

「……。」

胡散臭い、とは思ったが、座ってみたい、という誘惑には勝てなかった。
大倶利伽羅は一度きょろきょろと辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、そろりそろりと近づいていく。
そして、座る動作をしながら、座った時の心地良さを想像していた。

だが…、


バババババン!!!


座った瞬間に鳴り響いた大量の爆竹音に、大倶利伽羅の体は跳ね上がる。

「…な、なんなんだ、一体…。」

弱々しい声が漏れ出た。


「やったあぁぁ!」

「大倶利伽羅ゲットぉ!!」

「漸く崩せた!!」

太鼓鐘、厚、鯰尾が叫びながら何処からともなく躍り出た。
他にも潜んでいた陸奥守、薬研、鳴狐が驚いたまま固まっている大倶利伽羅を囲む。

「漸く一手じゃ。」

「ぎりぎりだったな。」

「今日が三日目ですからね。」


「悪いな、伽羅。」

太鼓鐘は、呆然として座ったまま動かない大倶利伽羅の肩をポンと叩く。

「あとは、レンだけだね!」

「奥の手で王手だ!」

厚と鯰尾はそう言って、ハイタッチをした。

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