第78章 番外編1
「益々まずいよ…!もう、一気に逃げた方が良くない…!?」
鯰尾は若干涙目で弟達を促す。
「そうだな。」
「そうしよう。」
厚と薬研も賛同し、小夜も大きく頷いた。
「一、ニの三で飛び出そう。」
小夜が言うと、三人は頷いた。
「一、」
「ニの」
「三!」
バタン!
合図通りに襖を開けるが、そこには誰もいない。
「あれ…?」
開けた小夜は、誰もいない廊下に首を傾げる。
「何だ、誰もいないじゃん…。」
ははは、と乾いた笑いを零しながら鯰尾が何気なく上方を見ると、そこには白い髪が垂れ下がっていて…。
「…え…。」
その先を視線で辿ると、天井にボサボサの髪を纏い、鎌を持った老婆が立っている。
「…あ…ぁ…。」
わなわなと震えだした鯰尾に恐怖を覚えながらも、彼の視線を三人が辿る。
「「「ぎゃあああぁぁぁぁああ!!!」」」
彼等は、脇目も振らず、転げ落ちる様に階段を駆け降りていった。