第78章 番外編1
翌日は、カラクリ仕掛けが多く配置されていた。
廊下を歩いていると、カコン、という音と共に大量の蛇や虫の人形が上から降ってくる。
またある時は、カチリ、という音と共に生クリームべったりのパイが飛んでくる。
勿論、レンは難なく避け切り、大倶利伽羅はレンに倣って罠を避けていく。
夜になると、鯰尾が審神者部屋に現れて、
「四谷怪談って知ってますか?」
と、切り出して、頼んでもいないのに怪談話を始めてしまう。
「お前、こういうのがダメなのか…。」
大倶利伽羅は、無表情を取りつつも隠しながら手をぎゅっと握っているレンを見て、こっそりと囁いた。
「あり得ないと分かってはいても、あまり好きではありません。」
気を抜かない様に気を付けながら、レンもこっそりと返す。
「くくっ…。意外だな。」
「ほっといてください。」
レンはひたすら無表情を取り繕いながら、ぼそりと呟いた。