第78章 番外編1
「本当にやるのか。」
朝食の後、大倶利伽羅は審神者部屋に着くなり、開口一番呟いた。
レンは丁度、仕事の支度をしている所だった。
「やります。というより、もう始まっています。起きた時、奇襲を受けましたし。」
レンが早朝のやり取りを話して聞かせると、大倶利伽羅は渋い顔をする。
「…ったく。お前等だけでやればいいものを。」
「始まってしまったものは仕方ありません。避けて通るかやり返すまでです。」
レンは、悪びれる様子もなく淡々と言ってのける。
その様子を見て、大倶利伽羅は大きくため息をついた。
「俺を巻き込むなって言ってるんだ。」
「私一人では手に負えません。集中攻撃は御免です。」
いつも何とでもするくせに、と大倶利伽羅は若干苛立つ。
「…お前、覚えてろよ。」
眉を顰めて文句を言う大倶利伽羅を、レンはちらっと見てから、書類を広げた。
その時、ふと燭台切の言葉を思い出す。
『この頃、伽羅ちゃんには欲しい物があるんだよ。』
欲しい物を買うには、やはり先立つ物は必要だ。
レンは、ざっと今月の給金を頭の中で計算すると、大倶利伽羅に目を向ける。
「巻き込んだお詫びに、ボーナス弾みますから。」
レンがそう言うと、大倶利伽羅は、うっ、と言葉を詰まらせる。
やはり、燭台切の情報は合っているらしい。
「くそっ…。」
結局、大倶利伽羅はそれ以上何も言えなかった。