第78章 番外編1
「どうだ!驚いたか!?」
その声と共に、パタン!と勢いよく襖が開き、鶴丸が現れた。
その後ろには乱、薬研、大和守、加州が部屋を覗き込んでいる。
「…あれ?」
勢いよく入ったはいいが、そこにはクラッカーの煙が薄ら漂うだけで閑散とした部屋が広がっていた。
「え?誰もいない?」
乱がきょろきょろしながら部屋へ足を踏み入れた。
「レンは?」
乱に続いて加州が入る。
「…逃げたんじゃない?」
「いや、誤作動だったのかも…?」
大和守と薬研は部屋の周りをきょろきょろと見回す。
「…もしかして、まだ寝てるのか?」
「「「「ないない。」」」」
鶴丸の呟きに、彼等は一様に首を振る。
「とりあえず、寝室確かめてみようよ。」
乱は先頭切って寝室の中へ足を踏み入れた。
その時、視界の端に長い髪の毛が垂れ下がっているのを捉える。
気になってそちらを向いた瞬間、
「わっ!!!!」
「ぎゃぁぁあああ!!」
乱はレンの不意打ちに尻餅をつく。
「な、なになに!?」
「何があったの!?」
加州と大和守が叫びながら乱に走り寄った瞬間、
「わっ!!!!」
「「ひっ!!」」
開け放たれた襖の真上から、逆さまのレンが現れた。
加州達も乱同様、不意打ちに尻餅をついてしまう。
三人は若干震えながら、にんまりと笑うレンを呆然と見上げた。
長い髪をそのままに垂らしているので、薄暗い室内では幽霊の様だ。
「…夜中に見たら、さぞ怖いだろうな。」
「だな…。」
鶴丸と薬研は顔を引き攣らせて呟いた。
「まずは一勝、ってとこですかね。」
レンは言いながら天井からすとんと降りると、髪を右側に寄せてさっと三つ編みにする。
「じゃ、片付けお願いします。」
レンはにっこり笑って部屋を出ていってしまう。
後に残った彼等はがっくりと肩を落とした。