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君に届くまで

第78章 番外編1



「…して、鶴は何故落ち込んでいるのだ?」

三日月は、しょんぼり肩を落とす鶴丸を見咎めて首を傾げる。

「あぁ、あれね。レンが勝負期間中は大倶利伽羅を近侍にするって言ってね。」

「大倶利伽羅をか。何故?」

「同じ人混み嫌いだから、協力してもらうんだって。」

「成程な。では、大倶利伽羅は三日間レンにべったりなわけだ。」

三日月は言いながら鶴丸を見ると、彼は益々しょぼんと肩を落とした。

「…何で俺じゃないんだ。」

「いやいや、レンの立場ならボクだって鶴丸は選ばないよ。」

乱は少し呆れた様に言う。

「はっはっはっ。フラれたな、鶴。」

「笑うな〜!」

三日月のあんまりな言い様に、鶴丸は自棄っぱちに叫んで膝に顔を埋める。
三日月はそんな鶴丸を見て、まぁ待て、と宥めた。

「だが、好機でもあるぞ?」

「好機?」

「そうだ。いつもは大っぴらには悪戯を出来ないが、明日から三日は、審神者から悪戯の許可を得たのも同然。
前々から、色々とやってみたい事があったのではないか?」

三日月の言葉に、鶴丸はふっと顔を上げる。

「そうか。」

鶴丸の趣味は悪戯だ。
普段、レン達に悪戯を仕掛ける事もあるが、規模を配慮するとどうしても簡単な悪戯しか仕掛けることが出来ない。
そうなれば、刀剣達はともかく、レンは絶対に驚かないわけで…。

「驚くどころか、反応なしだったもんな…。」

「今まではな。」

三日月は微笑む。

「だが、明日からは大々的に仕掛けることが出来る。」

鶴丸は思い切り悪戯に精が出せるのだ。

「頼りにしてるからね、鶴丸。」

「そうそう。あっと驚く仕掛けを作っちゃって。」

加州と大和守は、にっと笑って鶴丸に言った。
他の刀剣達も微笑みながら彼を見る。
鶴丸に手を貸してくれる味方はこんなにもいる。

「任せておけ!」

鶴丸は彼等を見渡して、満面の笑みで答えた。

「いつもの調子が出てきたな。」

三日月はそう言って朗らかに笑った。

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