第78章 番外編1

「…やったぁぁ…！」

加州、大和守、乱は広間に戻ってくるなり手を叩いて喜び合った。

「首尾はどうだった？」

広間で結果を待っていたらしい三日月は、彼等を見て声をかける。
表情から大方読み通りなのだろうと予想は出来るが、詳細が知りたいところ。

「三日月の読み通りだった。」

「勝負を仕掛けたら、最初渋ったけど、挑発したら誘いに乗ったよ。」

加州と大和守は、ほくほくと喜びも露わに報告する。

「勝負なんて、面倒くさがるかと思ったが、案外あっさり乗ったな。」

薬研は不思議そうにしながらもどこか嬉しそうに言う。

「だろう？」

三日月は楽しそうに言った。
刀剣達に、まずはレンに面倒だと思わせる事が肝要だと教えておいたのだ。

「開口一番、思いつく限りの誘い文句で詰め寄ったのが功を奏したな。」

薬研も楽しそうに笑う。

「何が良かったんですかねぇ。」

鯰尾が首を傾げながら言うと、三日月はくすりと笑う。

「レンにしてみたら、度々詰め寄られるよりも、勝負で手っ取り早く片をつけたかったのだろうな。
それに、あやつは喧嘩っ早い。敵でない限り、挑発されれば土俵に上がらないなどという選択肢はないのだろう。」

それを聞いて、鯰尾はぽかんと口を開けた。

「…三日月さん、よくレンを見てますね。」

「側にいれば自ずと見えてくるものよ。」

はっはっはっ、と三日月は朗らかに笑う。