第78章 番外編1
「すみません。待ちきれませんでした。」
対して言われた本人は反省の色もなく、しれっと返した。
「何で嫌なのさ!行こうよパレード!」
乱は我慢ならずにレンに詰め寄った。
「やっぱりその話ですか。安定にも言いましたが、あんな薄着で人混みの中を練り歩くなんて嫌です。私はお留守番を希望します。」
「刀剣が堂々と外に出られる唯一の機会じゃん。それをレンと一緒に行きたいんだってば!」
「いや、だから唯一の機会だからこそ、行きたい人だけで楽しんで来ればいいじゃないですか。」
「大勢の人が来るんですよ?レンの可愛い姿を見せびらかしたいじゃないですか。」
鯰尾も乱に倣い詰め寄ってみるが、レンの反応は薄い。
「どうでもいいですよ、そんなの。」
「みんなで可愛い格好して東京行こうよぉ!」
乱はレンの手を握ると、そのまま腕を振る様に左右に揺らした。
「寒いのは嫌です。」
レンはされるがままになりつつ、拒否を繰り返す。
「美味しい屋台とか出てるかもしれませんよ?」
「それは…。でもいやです。」
鯰尾の言葉に一瞬ぐらついたレンだが、行かない方に戻ってしまった。
「…花より団子だね、相変わらず。」
燭台切は困った様に笑う。
「花を見ても腹は膨れません。」
「…女の子って自覚持ちなよ。」
乱から呆れた声が返ってきた。