第78章 番外編1
「だめだったよ…。」
広間に戻った三人はがっくりと項垂れた。
そこには、加州、大和守、薬研がいた。
「ダメだったかぁ…。」
加州や大和守も肩を落とす。
「五虎退に弱いと思ったんだけどなぁ。」
薬研は腕を組んで呟く。
普段からしても、レンは五虎退の言には弱い節がある。
もしや、と思ったのだが、そう上手くはいかないものだ。
「ダメ押ししてもぜんっぜん効かなかった。」
「屋台に飛びついてくれると思ったんですが、ダメでした。」
乱と鯰尾はしょんぼりと肩を落とす。
その時、広間にダダダ!という騒がしい足音が近づいて来た。
「ハロウィンパレードにレンが出るって本当か!?」
遠征から戻ったばかりの鶴丸だった。
慌てて着替えたのか、内服が所々捩れている。
「あ、お帰り〜。遠征どうだった?」
加州は、のんびりと鶴丸を迎えるが、彼はそれどころではない。期待に満ちた瞳で加州に詰め寄った。
「恙無く終わった!それよりレンもパレード行くのか!?」
「いいや、拒否された。っていうか、それよりってひどくない?俺今日の近侍よ?」
鶴丸はそれを聞いた途端に肩を落とした。
「そうか…。行かないのか…。」
「落差が激しすぎるよ。」
大和守は、鶴丸の気分の変動の大きさに思わず吹き出しそうになる。
気持ちは分かるが、傍目から見ると只々面白い。