第78章 番外編1
その日のお昼過ぎ…。
休憩がてら厨で燭台切の手伝いをしているレンの元へ、五虎退、乱、鯰尾がやって来た。
戸口から顔だけ覗いてじっと見ている三人にレンはひたすら気づかないふりをする。
燭台切は、微苦笑を浮かべつつレンと三人を見比べている。
暫し、その睨めっこの様な時間が続き、遂に五虎退達が折れたらしい。
何やらひそひそと三人で話し出した。
かと思いきや、五虎退だけがおずおずと前に出て来た。
「あ、あの!あ、主様にお願いがあります!」
最高潮に緊張していそうな五虎退は、体を少し振るわせ、目をぎゅっと閉じていた。
レンは、大方の予想をつけつつ、五虎退に向き直る。
「あ、あの…、その…!は、ハロウィンに…!い、一緒に、い、行って…」
「いやです。」
レンは待ちきれず、断りの返事を返す。
「あ、あう…。」
五虎退の決死の覚悟は無惨にも崩れ去った。
「せめて言い終わるまで待ってくれたっていいじゃん!」
乱は怒りの形相でレンに食ってかかった。
兄弟の必死のお願いを袖にされた気分である。