第18章 完成した薬
「審神者の神気は、刀剣にとってなくてはならないモノで、…愛おしく思うものなんだ。」
「…それを”拒む”事、”拒まれる”事、どちらも僕達にとっては辛くて苦しいことなんだ。」
薬研と燭台切は硬い表情で話す。
「…だから、残酷、ですか。」
レンは何とも言えない顔をしながら答える。
「まぁ、人間には理解し難い感覚かもな。」
薬研は苦笑しながらレンに言った。
「そうですね。言っていることは分かりますが、さっぱりわかりません。」
「とにかく、拒絶は残酷なこと、って覚えといてくれればいいよ。」
燭台切は困ったように笑った。
五虎退と鳴狐が薬を塗り終えると、大きな傷はある程度塞がり、残す所擦り傷だけになった。
「やはり、薬が足りませんね。」
レンは、小さな乳鉢を手に取り眺める。
「まぁ、しょうがないさ。また今度取ってくればいい。さて。じゃあ、俺も遠征に加わるか。」
薬研は立ち上がり、それに合わせて五虎退と鳴狐も立ち上がった。
「薬研兄さんが入ってくれると、更に効率が上がりますね。」
「しかし、休憩を加味すると、交代で出陣した方がいいやもしれませんね。」
「交代制か。そうだな、じゃ俺と五虎退で出るから鳴狐は転移門の前で休んでてくれ。五虎退、行けそうか?」
「はい。主様から神気をいただきましたので、回復が早かったです。」
「よし、じゃ大将。行ってくるぜ。」
薬研達は話し合いが済むと、レンの方を向いた。
「はい、いってらっしゃい。」
彼女は印を組み影分身を4体出すと、薬研達を見送った。
厨に燭台切とレンが残る。