第18章 完成した薬
「治ったね。」
「治りましたね。」
「よかったです!」
「綺麗に治るもんだな。」
「ある程度のチャクラを流したことが良かったんですかね。」
燭台切、お付きの狐、五虎退、薬研、レンは、薬を塗る鳴狐を囲み、傷が塞がる様を見ていた。
「すごいですね。人間ならまずありえない速度で傷が塞がりますね。」
レンは改めて彼らが人ではないことを実感する。
「よし、じゃあ、次は五虎退。」
「はい!」
五虎退は嬉しそうに返事をする。
不意にレンは、刀剣がチャクラを拒んだらどうなるかと疑問に思う。
「薬研。もし五虎退が私のチャクラを拒んだらどうなりますか?」
「大将、残酷なこと言うなぁ。」
薬研は苦笑する。
「何で残酷なんですか?」
レンは意味が分からず首を傾げる。
「私が”拒む”のではなく、私が”拒まれる”ですよね?」
と聞くと皆一様に首を傾げる。
「そういえばそうだな。大将から”拒まれる”じゃなく、俺達が”拒む”なんだから。」
「でも、残酷なんですか?」
レンはもう一度問うと、皆一様に難しい顔をして考え込んでしまった。
上手く言えないけど、と燭台切が前置いて話を切り出した。
「僕達は、審神者の神気で顕現する。つまり、審神者の神気が僕達の”源”なんだ。」
「そうだな。その”源”が無くなった時、俺達はただの刀になる。おそらく、人の形をとることはもうないだろうな。」
燭台切の言葉に薬研が続く。
「…折れるのと同じ?…つまり死ぬって、ことですか?」
レンは、薬研達の言葉を咀嚼しながら考えを纏めていく。
「でも…、私が神気を渡さなくても、皆さんは今生きていますよね?」
「主様がいるので、僕達は本丸にいる限り、神気を受け取ることができます。」
「こんのすけが最初に言っていただろう。”本丸にいるだけでいい”って。それはこういうことなんだ。主は本丸に神気を供給することができる。」
五虎退と燭台切が答えた。
「つまり、私が本丸にいる限り、私のチャクラが自動的にみんなに流れている?」
「そういうことになりますね。」
お付きの狐が肯定する。