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君に届くまで

第78章 番外編1



「いいんじゃないんですか?」

「ほんと!?」

大和守は嬉しそうに身を乗り出すと、

「いってらっしゃい。」

素気無い答えが返って来た。
大和守はがっくりと項垂れる。

「違う違う!そうじゃなくて、レンも一緒に行こうよ。」

「え、いやです。」

「即答か!」

「即答ですね。寒いので家にいたいです。」

そう。レンは寒いのを人一倍嫌がるのだ。

「…氷使いのくせに。」

「関係ないと思います。寒いものは寒いんですから。」

「歩いてるうちにあったかくなるから。」

「仮装ってこれ薄着でしょう?人だって多いし。みんなで行ってくればいいじゃないですか。」

「だからレンも行こうって。絶対楽しいよ?」

「私はお留守番してます。いってらっしゃい。」

…埒があかない。
これではいつまで経っても平行線が続くだろう。

大和守はお知らせの紙とパンフレットを握りしめると、

「ちょっと出てくる!」

部屋を飛び出してしまった。

「あ…!」

おそらくは皆に知らせに行ったのだろう、とレンは予測する。
そして、大挙して彼女を説得に来るつもりなのだろう。
けれども、レンは寒くて人が多い所に行くつもりがない。

「…ま、いっか。」

要は頷かなければいい話である。
そう思い直したレンは、溜まっていた書類を片付けるべく再び手を動かし始めた。

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