第18章 完成した薬
「やあやあ、みなさまお揃いで。薬は出来そうですか?」
鳴狐が遠征から戻ってきた。五虎退も一緒だ。
「資材、取れました!」
五虎退が得意げに資材を詰めた麻袋を見せる。
「2人ともお疲れ様。おにぎりあるよ。食べるかい?」
「わあ!ありがとうございます!いただきます!」
五虎退が嬉しそうに答える。
「鳴狐、わたくし達もいただきましょう。」
お付きの狐が鳴狐を促し、彼は黙って頷いた。
「薬は粗方出来たぜ。あとは混ぜるだけだ。」
「え?材料集めに時間がかかると言っていたのに、随分早かったですね?」
お付きの狐が不思議そうに尋ね、薬研が少し笑いながら答えた。
「そうなんだ。大活躍だったんだぜ、大将。」
「あー…。成程…。あなたなら、まぁ納得ですね。」
「…さっきから何なんですか?その反応は。」
レンは不服そうに答えた。
「あなたの行動は、予想の範疇を軽々超えてきますからね。」
ーなんか、納得いかない。
「…私は至って普通の人間なんですが。」
「あなたの普通は我々の普通とはかけ離れているのですよ。」
「まぁまぁ。とりあえず、それを混ぜてひとまず区切りをつけちまおうぜ。」
終わらないと判断し、薬研はレンを促す。
レンは少し、ムッとしながら粉砕した玉鋼を乳鉢に入れ、よく混ぜ込んだ。
「丁度いいので、今皆さんで試してみたらどうですか?」
「あぁ、それはいいな。五虎退も後で試してみろよ。」
「まずは腹拵えだね。」
燭台切はそう言っておにぎりを出した。