第18章 完成した薬
「燭台切。」
レンは燭台切の方を見た。
燭台切に嫌な予感が走る。
「実験台になってください。」
「言い方!言い方があるよね!?」
燭台切はレンの言葉に被せ気味に答える。
「え?えーと、じゃあ、手当て?」
燭台切は激しい脱力感を感じながらも頷き、腕の傷を見せる。
横に一線入っていて血が僅かに滲んでいる。
レンは一瞬動きを止めて、燭台切の傷にサッと塗る。
「…何か変化はありますか?」
「うーん、ふわりとしたものが傷口に乗っている感じはするけど、それくらいかな。」
「擦り傷ならすっと塞がる筈なんだが…。」
薬研は、首を捻りつつ腕を組んだ。
レンはもしかしたら、と考える。
「ちょっと試してみてもいいですか?」
「何を?」
薬研はレンを不思議そうに見る。
「燭台切、手を出してください。」
どうぞ、と燭台切はレンに差し出し、彼女はその手を握るとチャクラを僅かに燭台切へ流した。
すると、傷口少し塞がり、血が止まった。
「大将!今、何やったんだ!?」
薬研と燭台切は驚いてレンを見る。
「燭台切にチャクラを少し流しました。
内側と外側に私のチャクラが流れることでチャクラが反応して馴染むんじゃないかと思って。」
「「はい…?」」
2人は訳が分からず首を傾げて聞き直す。
「え?いや、だから…。なんて言ったらいいんだろう。
玉鋼自体は、私のチャクラが浸透していて、微粒子の一つ一つまで私のチャクラで包まれているわけですよ。
で、普通に塗っただけだと、体の外側にただ私のチャクラが乗っているだけなんです。
それを馴染ませるには、体の内側に私のチャクラを入れたらいいんじゃないか、と思って。
外側と内側のチャクラが反応してくっ付けば、玉鋼も自然に体に浸透するんじゃないかと。」
「…確かに何か流れてきた感じがあったね。」
燭台切は先程の感覚を思い出す。
「成程な。ってことは、一度大将の気を取り込まないと薬が効かないってことか。」
薬研は一つ頷き、納得の様子を見せた。
「そういうことになりますね。だから薬研は薬がよく効くんじゃないですか?」