第75章 忍界大戦8
「しんみりしてねぇで。日が暮れちまうから行くぞ。」
シカマルはしょんぼりとしている鶴丸と薬研の肩を叩く。
「そうね。のんびり歩いてたら日が暮れるわ。走るわよ。」
いのも空を見つつ急かし始めた。
それを聞いて、鶴丸は目を瞬かせる。
「…え?走るのか?」
鶴丸はレンを背負っている。
なのに走るとなると、道のりは過酷なものとなるだろう。
確か、来た時は2時間は走ってはいなかっただろうか…。
鶴丸が顔を青くしていると、ナルトが手を差し伸べた。
「…レンのねぇちゃん、俺がおぶろうか?」
鶴丸は天の助けとばかりにナルトの方を向いてからピタリと止まった。
例え、善意の申し出であっても、一刻でもレンを離したくなかったのだ。
ーレンを誰にも触れさせたくない。
その思いから、鶴丸はナルトから差し出された手を握れないでいる。
自分でもここまでの独占欲に不思議に思うが、嫌なものは嫌でしかなかった。
「…いや、いい。俺が最後まで背負って行く。」
決意も新たにキリッと言うと、ナルト以外の忍達は目を丸くした。
どんなに遠かろうとも疲れようとも、鶴丸はレンを絶対離さないと心に決める。