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君に届くまで

第75章 忍界大戦8




里の外れ、森の奥深くの崖の側。
人の背丈よりも尚、大きい小山があった。


「ここだと思うよ。試練で敗れた子供はここに捨てる決まりだったから。」

淡々と述べるサイに、鶴丸は顔を顰めた。

「”捨てる”のか。まるで物の様だな…。」

そうやってリヨクも捨てられたのかと思うと遣る瀬無い思いが募る。

「…死んだらそれはただの肉塊でしかないからね。どんなに喚いたって嘆いたって…、もう生き返らない。」

サイ自身もレンと同じ経験をしている。
兄弟の息の根が止まるのを呆然と見送るしかなかった。

薬研は、サイの瞳にレンと同じものを見つけて顔を顰めた。

「…あんたもレンと同じ道を辿ったのか。」

「うん。僕も兄さんを手にかけた。」

サイは悲し気に面を少し伏せた。
鶴丸はそれを見て、塚を見上げる。

「ここは悲しいことが多いんだな…。」

「そうだね…。でも、それも僕達で最後だ。」

サイはそう言って同じように塚を見上げた。

薬研は黙したまま、塚の端に持っていた花を添える。
いのの花屋で貰った色とりどりの花束だ。
鶴丸と薬研は少し塚を見上げた後、手を合わせ、黙祷を捧げる。

これからはどうか、悲しいことが起こりませんように…。

彼等はそう、切に願った。

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