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君に届くまで

第75章 忍界大戦8



1時間程経ち、鶴丸と薬研が玄関先で待っていると、カカシが戻って来た。

「お待たせ。いや〜少し時間かかっちゃって…。」

彼はそう言って片手を上げる。
少し疲れているように感じるのは気のせいだろうか…。

そして、その後ろには青年の腕に手を絡ませたいのが立っていた。
名前は確かサイだった、と鶴丸達は思い出す。
レンに妙に突っかかっていたので印象深い。

「いのじゃないか。帰ったんじゃないのか?」

「カカシ先生に呼ばれてね。私もついて行くことになったの。」

薬研がいのに問いかけると、彼女はにっこり笑って答えた。

「僕は行きたくなかったんだけどね。いのが行こうって言ったから来たんだ。」

そのサイは冷めた目で鶴丸と薬研を見つつ、無機質な笑顔を浮かべる。
それを見たカカシといのは乾いた笑いを漏らした。
気分を悪くしなければいいな、と思いつつ2人が鶴丸達を見ると、何故か彼等は吹き出した。
サイのその様は、少し前のレンを彷彿とさせたのだ。

「…何が可笑しいの?」

サイが不満気に問うと、2人は慌てて言い繕う。

「悪い悪い。何だか、その笑顔がレンを思わせてな。少し可笑しかったんだ。」

「レンも何か含むものがある時はそういう風に笑うことがあってな。ちょっと懐かしいと思っただけなんだ。」

鶴丸と薬研は身振りを交えながら、どうにか機嫌を持ち直してもらおうと懸命に伝える。
それを聞いたサイは少し意外そうな顔をした後、そう、と言って小さく息を吐いた。

「…それで、兄妹の人のお墓に行きたいんだっけ?案内するよ。」

彼はそう言って歩き出す。
自ら歩き出したサイを見て、カカシといのは顔を見合わせた後、もう一度サイを見る。

「…あれまぁ。どういう風の吹き回しだろうねぇ。」

「どういう心境の変化かしら。」

そう言って2人は首を傾げる。
その様子から、サイが相当渋っていたことが垣間見える。

「ともあれ、気が向いた今の内に案内してもらいますか。」

カカシがにっこり笑って皆を促した。

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