第75章 忍界大戦8
「そうか…。」
鶴丸は呟いた。
今日、帰れる。
その事実が、じわりじわりと2人の中へ染み込んでいく。
理由はどうあれ、やっと本丸へ帰れる。
その思いが、2人の沈んだ気持ちを浮上させていく。
「チャクラ切れさえ何とかなれば、目覚める可能性は限りなく高いと思うよ。」
2人の様子を見ながら、カカシは後押しするように言葉を紡ぐ。
それが効いたのか、2人は顔を上げた。
その表情に悲痛な色はない。
カカシは内心胸を撫で下ろした。
「分かった、支度はする。けど、その前に行ってみたい所があるんだ。」
薬研は言いながら鶴丸を見る。
鶴丸も薬研を見て頷いた。
「本当はレンの目が覚めてから行きたかったんだが、そうも言ってはいられなくなった。
俺達はリヨクの、レンの兄妹の墓参りがしたいんだ。」
「場所を知らないか?」
鶴丸と薬研は、そう言ってカカシを見た。
カカシはそれを受けて考える。
レンと言えば”根”だ。
“根”と言えば…。
「サイ、だな。あいつなら知ってるかもしれない。」
サイは丁度今、”根”の根城に行っている頃だろうとカカシは思い出す。
「ちょっと連れてくるから、ここで待ってて。おにぎりでも貰って目を覚ましといてちょーだい。」
彼はそう言い残すと、何処かへ消えていった。