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君に届くまで

第75章 忍界大戦8



「…随分急だな。何か理由でもあるのか?」

鶴丸は少し訝しげに尋ねながら、カカシの顔色を伺った。
様子を見よう、と言われてから、何の説明もないまま帰されるのがどうも釈然としない。

カカシは鶴丸の視線を受けて、少し困ったように笑った。

「レンの症状は君達の世界に帰らないと治らないから、っていうのが理由だね。」

その言葉に2人は目を瞠る。

「けど、実際そうなんだろ?今、レンのチャクラは空っぽで本丸って所に行けば戻るかもしれない。」

「だが…、レンは今無限月詠ってのにかかってるんだろ?」

鶴丸は不安気にカカシを見返す。

「レンが目を覚さないのはそのせいでもあるかもしれないと言われたぞ。」

薬研も不安気に答えた。

「あぁ。夢に囚われたのかもしれない、と。」

2人は、綱手やサクラにはそう聞いていた。

実際、そういった者もちらほらとはいたのだ。
だがそれは一時的なもので、チャクラが回復次第、順に目を覚ましていった。
だがレンの場合、そのチャクラが戻って来ない。

「レンは本当に目覚めるのか?」

薬研は悲し気に瞳を伏せ、問いかける。

カカシはゆっくりと息を吐いた。
原因の一端が自身にもあると思うと、彼の中にもやり切れない想いがある。

「…何とも言えないな。
だが、無限月詠は解術されている。あとはレンにチャクラが戻って、目を覚ます意思を本人が持つかどうかだ。」

何度か聞いた言葉に、2人は面を伏せた。
それしか方法がないことには一抹の不安がある。

「ま、言うなれば、医者に出来ることはもう無い。だから助かる見込みのある方法を取ろうってこと。」

カカシはそう言ってにっこり笑う。
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