第74章 忍界大戦7
「そりゃ、本当か。」
話を聞いていたらしいシカク達が口を挟む。
サクラはそれに頷いた。
「ええ。本当です。…チャクラを注ぐ時、私だけじゃなくて綱手様やシズネさんも同じように感じるって言ってました。」
その言葉に、シカクやいのいちは難しい顔をする。
「…これが予想出来ない不測の事態ってことですかねぇ。」
カカシはレンの言葉を思い出して、視線を伏せた。
『今まで何でもなく出来たことが、今は出来なくなっているかもしれません。』
『予測困難な事が起こるかもしれないんです。』
確かにレンはそう言っていた。
普通なら、チャクラ切れは休めば自然と治るもの。
誰が何をする必要がない。
だが、レンにはもう、それが出来なくなっている。
カカシとサクラは心の内に苦いものを抱える。
レンの帰還において、2人は当事者だ。
安易に呼び出してしまったことによる罪悪感、どうにも出来ない無力感が2人を苛む。
「…早急に向こうの世界に帰すべきでしょうね。」
カカシの言葉に、シカクも頷く。
「そうだな。その方が或いは目覚めるかもしれねぇな。」
「…そうか。」
いのいちは呟くと、後ろ手をついて天井を見上げた。
「残念だな。もっと親しくなれると思っていたのに。」
「なんだ、名残惜しいのか。」
シカクの揶揄にいのいちは笑う。
「お前だって寂しいだろ?鶴丸なんか気に入ってだじゃないか。」
「まぁな。けど、このまま消えさせるのは忍びないからな。」
「我らが命の恩人だしな。」
いのいちが言うと、シカクは少し笑った。
次いで、シカクはサクラを見る。
「綱手様はどうなさるつもりだ?」
サクラはその問いに、少し寂しそうな顔をする。
治して万全の状態にしてから送りたかった、と彼女は思う。
「綱手様は…。可能なら明日にでも遺跡に行った方がいいだろう、と…。」
「…そうか。」
それきり、場に沈黙が広がった。