第18章 完成した薬
ー薬草みたいに…?
レンは玉鋼をじっと見る。
チャクラで包んでみたらどうなるのだろう。
レンはチャクラを玉鋼に流し、全体に浸透させる。
そして、馴染ませ、定着させた。
次いで浸透させたチャクラを風遁に性質変化させ、玉鋼を砕く。すると、ごろごろと小石になり、砕けて砂状になる。
さらに、氷遁で微細で硬い結晶を発生させ、風遁で撹拌し、玉鋼を砕けるだけ砕く。
すると、パウダー状になった玉鋼が出来上がった。振ると僅かに煙が漏れ出る。
「こんな感じ、ですかね。」
薬研と燭台切は空いた口が塞がらない。
完全に動作が止まって見入ってしまった。
「…こんなのどうやったんだ?」
「風で砂状にしてから、微粒子の氷の結晶を作って、風を起こして掻き混ぜました。」
「魔法使いかよ…。」
「…さすが兄弟ですね。乱も同じこと言ってましたよ。」
レンは嫌そうに言った。
「言ってることはなんとなく分かるが、理解が追いつかないんだよ。」
薬研は困ったように笑いながら弁解する。
「ここからどうするの?」
「…どうしたらいいですか?」
燭台切はレンに尋ね、レンは薬研に尋ねる。
「単純に混ぜてみたらどうなる?」
レンは指に薬を少量取り、粉砕した玉鋼を少量指の上で混ぜてみる。
「これ、私が持っていても効果がわからないですよね?」
「あ、そういえばそうだな。」
「というわけで、薬研。もう一回怪我してください。指先だけでいいので。」
「断る。」
薬研は真顔でそっぽを向く。
「じゃ、どうやって検証するんです?」
レンはそこまで言って、はたっと気がついた。
いるじゃないか、打ってつけが。目の前に。