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君に届くまで

第74章 忍界大戦7



いのいちの娘自慢に始まり、珍しくチョウザの息子自慢が加わって、場の空気は始終笑いの絶えない和やかなものとなる。

ナルトは席を転々としつつ、引っ張り凧で食べ物や飲み物を勧められていた。
そして、何を思ったのかお色気の術を披露しており、男衆が盛り上がりを見せている。


「全く馬鹿は相変わらずね。」

台所がひと段落したのか、いのが薬研の隣に腰を下ろした。

「仕事は片付いたのか?」

「まぁね。漸くご飯にありつけるわ。」

いのはお皿にちょいちょいと好きな物を乗せていく。

「ん〜!おいし!」

「美味そうに食べるな。」

薬研はいのの様子を見て少し笑った。

「空腹は最高のスパイスって言うでしょ?」

いのがにっこり笑って言うと、薬研は微苦笑を浮かべた。

「仲間にもそう言ってた奴がいたな。だが、それには食い過ぎの注意も必要だと言っていたぞ。」

それを聞いたいのは、少し眉根を寄せる。

「嫌なこと言わないでよ。食べられなくなっちゃうじゃない。」

「はははっ。悪い悪い。」

薬研が笑うと、いのも笑った。
そして、2人の間に少し沈黙が流れる。

先に口を開いたのはいのだった。

「ありがとう。ずっとお礼を言おうと思ってたのよ。」

いのは酔ってシカマルや鶴丸に絡んでいる親達を見る。

「薬研達がお父さん達を助けてくれなきゃ、今頃こんな風にみんなで過ごすことが出来なかった。今、こうしてみんなでいられるのはあなた達のお陰よ。」

いのは嬉しそうに笑いながら薬研を見るが、彼は何故か微苦笑を浮かべた。
いのが不思議そうに首を傾げると、薬研はその視線に耐えられなくなったかのように、ふいと顔を背けてしまう。
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