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君に届くまで

第18章 完成した薬



「よし、出来たぜ。」

どれどれと燭台切とレンは覗き込む。
あれだけあった薬は、片手に収まるほど小さくなっている。
そして毒々しい緑色だったのが、優しい乳白色の緑色に変わっていた。

「少ないね…。」

と、燭台切。

「色が違う…何で?」

と、レン。

「量はこんなもんさ。これでも多い方だ。
色は茎だ。すり潰すと白い油分が出るやつがあるんだ。」

薬研はレンを見る。

「さて、大将。出番だ。」

「…いや、だからどうやって?」

レンは戸惑う。

「これに玉鋼を練り込んでもらうんだが…。」

そう言いながら、手提げカバンからノートを取り出す。

「記録には何て書いてあったんですか?」

「ほら、ここだ。作り終わった薬に審神者が玉鋼を入れている。」

レンも見せてもらうと、一言”玉鋼入れる”とあり、薬に手をかざしている絵が載っているだけだった。

「…これは…早まりましたね。」

「あれ、出来ないか?審神者なら出来ると思うんだが…。」

そもそも私は審神者なんだろうか?
レンは答えに困る。

「そういえば、この前こんのすけからもらった首飾りは?」

燭台切は思い出してレンに問う。

「…あぁ、そうか。」

レンはそういうと、ズボンのポケットからガーゼで包んだ首飾りを取り出し、首にかけてみた。
そして、玉鋼を手に乗せる。

「よくわかりませんね…。」

「俺の手入れの時はどうやったんだ?」

薬研が問う。

「手入れの時は…、傷口を塞ぐのに玉鋼を細かく貼り付けるイメージでした。」

「傷口が多い場合は?」

「…うーん…、玉鋼を崩して…振りかける、かんじ?かな…。」

「じゃあ、玉鋼を薬草みたいに下拵えするとしたら?」


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