第2章 時空を越えて
5人は一様に驚いた様子だった。
レンは慌てて起き上がろうとするも力が入らず、起き上がれなかった。視界もぐらぐらと揺れている気がする。
もうどうにでもなれと、半ばやけっぱちで自身の事情を話し始める。
「本当だ、嘘じゃない。腕と足に怪我を負っていて熱もある。薬か食べ物を分けて欲しくて、ここを訪ねた。」
「お前、政府の者じゃないのか?」
「せい、ふ?が何なのか知らないが、私は一人で旅をしている。」
そう答えると、5人は困惑した様に互いの顔を見合わせる。
何を警戒しているのだろうか。
そのまま、何事かひそひそと話し始める。
“政府”や”新しい”などは聞こえるが、耳鳴りが酷くて聞き取れない。
寝転んだ地面も砂利が良い塩梅に熱を含んで心地よい。
意識も少し朦朧としてきている。
レンは本格的にダメだと思った。体が限界だ。
助けてくれ。と、レンは言ったつもりだったが、果たして上手く声が出ただろうか。
混濁する意識に身を任せる様に静かに目を閉じた。