• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第43章 はじめまして




私がまだ、龍之介の事を苗字で呼んでいたころ。1度だけ彼に、性的な奉仕を働いたことがある。
それがトリガーとなり、龍之介は私を意識するようになってしまったのかもしれない。真意は闇の中なわけだが…


「そんな龍に、キミが女だってバレたとしたら?答えは…言わなくても分かるでしょ」

『ストッパーが無くなることにより、正々堂々と 私を、追う?』

「そうなるだろうね。問題なのは、龍が “ 真っ直ぐで分かりやすい性格 ” だってところ。
器用なボクと違って、仕事にも支障を来たしかねない」


私は想像した。
カメラの前で、私の姿ばかりを追う龍之介を。現場で、熱っぽい視線を私に向け続ける彼の姿を。


『ぜ、絶対に駄目だ…!』

「でしょ?まさかファンに、他の女性に恋をする十龍之介を見せるわけにいかないからね」


天の言う通りだ。
アイドルは、ファンに恋をしているという体でいなくてはならない。そして それを最も具現化出来ているのが、何を隠そう目の前の男だ。

心の中は自由だが、その心を包む側は ファンだけを愛していなくてはいけない。
それをやってのける器用さが、龍之介にはないのである。


「まぁでも、龍は本能的に キミが女であることに気付いてる節はあるけどね」

『そう、かな?』

「多分ね。まぁでも龍の場合、いつ開き直るか分からないのが怖いところだけど」

『開き直るとは?』

「俺はホモだったみたいだ!春人くん、好きだ!って。突然言い出してもおかしくない」

『あっはは!
って…ここ、笑っていいところだった?』


笑っちゃ駄目なとこ。
そう言う天の口元も、僅かに綻んでいた。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp