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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第43章 はじめまして




天は 手早く、しかし粗雑に、グラスにミネラルウォーターを注ぐ。
そして それを龍之介に押し付けるように手渡した。


「え、あ、ありがとう?」

「いいよ。上へ持って行って飲んで。早く」

「え?ど、どうしてそんなふうに急かすんだ?ここで飲んじゃ、何かまずい?」

「まずいよ。早く2階へ戻って」


天は、ぐいぐいと龍之介の背中を押した。最初はなすがままになっていた龍之介。しかし いざ階段の下まで来ると、くるりとこちらを振り返った。


「やっぱり俺も、もう少しここにいたいな?楽しそうに話してたみたいだからさ、俺も混ぜてよ」

「駄目」

「えぇ…」

「ボクは、プロデューサーと大切な話があるんだよ」

「大切な話って?」

「大切な話は大切な話だよ。今後のTRIGGERを大きく左右するような話」

「えぇ!?それなら、尚のこと俺も」

「いいから、早く、戻って、寝て」


ギラリと、天の瞳は鈍い光を放つ。
こうなった天は、もう誰も止められはしない。龍之介は、寂しそうな顔で 1度だけこちらに視線を送って来た。
しかし、やがてトボトボと2階へと姿を消したのだった。


『な、なんて強引な…。
で?説明してもらっても良いかな。天が、龍達に真実を黙ったままにした方が良いと考える理由』

「今の龍を見てて、その理由が分からない?相変わらず自分の事となると本当に鈍いよね」


ため息で一拍置いて、天は冷めた目で言う。


「まず龍。キミの事を確実に意識してる」

『ん…、たしかにそれは、私も感じてた時期もあったよ。でも龍、ある時を境に 吹っ切れたみたいなんだよね』

「まったく…お気楽だねエリは。
龍が吹っ切れたように見えたのは、ボクが誤魔化してあげたからだよ」
【15章 303ページ】

『え、そうだったんだ…それは、お世話様で』


まさか天に、そのような尻拭いをさせていたなんて。全く知らなかった。

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