第43章 はじめまして
『言っておくけど、私が本当の事を話す気になったのは、天に問い詰められたからじゃないから』
「分かってる。キミが、これからもボクらと一緒に歩んでいく為でしょ。
キミはずっと迷ってた。ボクらに真実を話すべきかどうか。それは、偽りの姿のままでは 本当の意味でTRIGGERの仲間にはなれないからだ」
『…ほんとに、食えない男』
まるでエスパーのように、私の心を見抜く天に悪態を吐く。
実際、彼の言う通りだった。
私の心が、悟ったのだ。
もしここで、まだ嘘を突き通す道を選んだのなら、彼らとは もうこれ以上 距離は詰まらないだろうと。
表面上は、何も変わらなくても。私達の心が近付く事は決してない。
「嬉しいよ。本当の事を話してくれて。
もし、キミがさっきの問いかけに “ 私は何も隠していない ” って答えていたら…
ボクは、キミと一線を引くつもりだった」
『やっぱり。そんな気がしてた』
「でも、エリは選んでくれた。自分の秘密を晒してでも。
ボクとの未来を」
私は捨てた。
ただのビジネスパートナーとして、3人と歩いていく選択肢を。
私は選んだ。
TRIGGERと、歩んでいく道を。一心同体の覚悟を持って。
『貴方達は…どんな景色を、私に見せてくれるのかな』
「期待してていいよ。
今まで誰も見た事がない、最高の景色を見せてあげる。キミだけにね」