第6章 この子はオレとユキのお気に入りなの!
「じゃあ、俺達はそろそろ。千さん、百さん、今日はよろしくお願いします」
「はいは〜い」
「また後で」
挨拶を無事に済ませたTRIGGERは、Re:valeの楽屋を後にする。
楽、天、龍之介の後に続いて私も部屋を出ようとしたが。
ふいに、くんっ。とスーツの裾を後ろに引かれる感覚。
『?』
振り返ると。百が口の横に手を添えて、こそこそ話しをするような子供のように話しかけてきた。
「今日の収録終わったらさ、またここに来てよ」
『…分かりました。メンバーに伝えておきます』
私はてっきり、TRIGGERのメンバーと話がしたいのだと思い そう告げたのだが。
千が首を振った。
「違う。僕達が話したいのは君だよ。春人ちゃん。
待ってるからね」
千が妖艶に微笑みそう言った後、ようやく百は私を捉えるその手を離した。
「プロデューサー?どうしたの?早くしてよ」
廊下側から天の声がする。私はRe:valeの2人へ会釈をしてから外へ出た。
「…………」じっ
パタン。
「……っ、ユキ見た見た!?今の天の顔!オレ達すんごい睨まれちゃったねぇ!あははっ」
「きっとあれだ。ボクのプロデューサーにちょっかいかけないでよね。って顔なんだろう」
「意外と分っかりやすいよねぇ天は!
でも ちょっかいは、やめてあげられないなぁ」
「ああ…やけに気になる。あのプロデューサー、ただ者じゃない」
「やっぱりユキも思った?オレも、一目見た瞬間にビビって来た!俄然興味持っちゃったよ」
「おやおや、僕というものがありながら…。それは浮気発言と見なされても仕方がないよ?モモ」
「あーん!何言ってんのさ!オレにはユキがダントツ1番だよ愛してる!」
ひしっ。
「「………」」
「誰も見ていないところでは、あまりやる意味がないか」
「うん。すんげー虚しい」