第6章 この子はオレとユキのお気に入りなの!
私は存外、Re:vale劇場を楽しんでしまっていた。
「あっはは。相変わらず楽はクールだにゃあ」
「ボク達は、先輩である あなたがたに挨拶をしに来ただけですので。これで失礼します」
「楽くんよりクールな天くん…。つれないなぁ。もう少し遊んでいけば良いのに」
そう。私達は、Re:valeの楽屋に挨拶をしに来ていたのだ。
ブラホワではライバル同士という立ち位置だった為、挨拶は無しだったのだが。
今日の歌番組では 共演者 という括りになるので、先輩アイドルである彼らへのご挨拶は必須。
「それよりも、相変わらずお2人は仲が良いですね」
「お、龍ちゃん嬉しい事が言ってくれるねぇ〜!そうだよ、オレとユキは魂の友。ソーールメイト!だからね!
でも、TRIGGERもチームワーク上がってきたんじゃない?」
「そうね。この間のブラホワは、痺れたよ」
先輩であるRe:valeの お褒めの言葉に、リーダーである楽は素直に嬉しそうだ。
「2人にそう言ってもらえたら、社交辞令でも嬉しいですよ」
「いやいや本当にそう思ったんだって!あ、それはそうとー…。
そっちのイケメン君は?あんま見ない顔だね。マネージャー代わったの?」
百のくりくりお目めがこちらを捉える。
私はこの部屋に来て、初めて口を開いた。
『申し遅れました。私はこういう者です。TRIGGERのプロデューサーを務めておりますので、またお2人にもお会いする機会があるかもしれません。
どうぞ、お見知り置きを』
私は2枚の名刺を、それぞれ百と千に手渡した。
それをじーーっと見つめる2人。名刺に穴が空いてしまうのではないかと、心配になるくらい。
「…中崎春人…。ふぅん。じゃあ春人ちゃんだ!」
「なるほど…。春人ちゃん。末永くよろしくね」
『…よろしくお願いします』
本当にフレンドリーな人達だな…。
私は愛想笑いを浮かべながら、Re:valeの2人を観察していた。