第6章 この子はオレとユキのお気に入りなの!
「春人ちゃーん!リンゴ剥けた?」はやくー
『今やってます…』
「ねぇ、僕がお願いした ノンアルコールワインはまだかな?」
『いま早急に冷やしてますから、ちょっと待って下さいっ』
「早くこっちで一緒にゲームやろうよ!」
「あぁモモは優しいね。1人だけ仲間外れにしちゃ可哀想だものね」
『……ど…っ』
どないやねん!!!!
私は今、天下のアイドル様 Re:vale と共にいる。
百と千は、私に無理難題をふっかけ…というか、これは完全に遊ばれていると見て間違いないだろう。
なぜ、TRIGGERのプロデューサーである私が こんな目にあっているかというと…。
時は、昨日の午前中へと遡る。
————某テレビ局内
「お疲れちゃーん!!今日もよろしく!TRIGGERは最近ほんとグングン来てるから、一緒の仕事も楽しみなんだよね!」
この元気を絵に描いたような男は、Re:vale のメンバー 百。本名を春原百瀬という。
くりっとしたパーマ毛を揺らしながら、大きな瞳は爛々と輝いている。
「そうだねモモ。これはうかうかしてたら、Re:vale の立場も危ないかも」
絶対にそうは思っていないだろうに、適当な事を口走っている方が、Re:valeの片割れ。千こと、折笠千斗。
長い優雅なグレーヘアと、目元のほくろがセクシーだ。一見して冷たい見た目からは想像も出来ないほど、お茶目な性格をしているもよう。
「な…何言ってるのさっ、そんな事ない!!Re:vale は、天才イケメンのユキがいる限り永久不滅なんだから!」
「……モモ…っ」
「…ダーリン…!」
ひしっ。
「で?俺達は何を見せられてるんですか?」
抱き合う2人を横目に、楽がクールに突っ込んだ。