第42章 そんなの、私に分かりませんよ
「なに2人して、隅っこで話し込んでるんだよ」
「楽の言う通り。なんか暗いよ」
「ほら!打ち上げ花火と、仕掛け花火。派手そうなのは全部置いてあるんだ」
「そーちゃんも、中崎さんも、早くこっち!」
4人に呼ばれ、私と壮五は互いの顔を見合わせた。そして、どちらからともなく目を細める。
それは、私達も花火を楽しもう。という意味であった。
しかし、私達が立ち上がるのと同時に、楽と龍之介はコテージの中に消えてしまった。何をしに行くのかと聞いても、少し待ってろ としか答えてもらえない。
仕方なく、花火を地面に設置しつつ2人の帰りを待った。
「よお。待たせたな」
「ごめんね、これ運ぶのに手間取っちゃって」
2人は、両手持ちの大きなシルバートレーを手に現れた。トレイには、多くの瓶類が乗っている。それらのほとんどは、酒だった。
他にも、シャンパンクーラーに入った氷。シトラス系の果実。コーラや炭酸水にトニック、ジンジャエールが見受けられた。
ご丁寧に、トングやペティナイフまである。
それらを見れば、2人が何を考えているのか手に取るように分かった。
『花火を見ながら飲むのも、たしかに良いですね』
「だろ?」
「春人くんなら、そう言ってくれると思ったよ」
「わぁ、いいですね!僕もぜひ戴きたいです」
おつな提案に、沸き立つ大人組。対して、未成年組は面白くなさそうだ。
「ふぅん。ボクと四葉環のことは御構い無しなんだ」
「べっつにいいけど、飲み過ぎんのだけは勘弁してくれよなー。そーちゃん」
『これだけジュース類と果物があれば、ノンアルコールカクテルも作れますよ。
なので、せっかくですから全員で外飲みしましょうよ』
私は早速レモンにナイフを入れながら、口角を上げた。
「…まぁ、キミがそう言うなら」
「あ!じゃあ俺!ミルクセーキ!」
どうやら、2人も機嫌を直してくれたらしい。