第42章 そんなの、私に分かりませんよ
彼らを商品だなんて、思っているはずがない。それは、TRIGGERの3人も分かってくれているはず。
つまりは、信頼関係の上に成り立つ冗談だ。それを証拠に、3人は傷付いた様子は一切見せていない。それどころか、私に楽しそうに毒づいた。
「こっんの!冷徹男」
「氷プロデューサー」
「え、えっと…ま、魔王様」
『龍。悪口がパッと頭に浮かばない貴方が好きですよ』
「あはは、本当?」
『はい。私が魔王になった あかつきには、貴方に世界の半分を差し上げましょう』
「やった!嬉しいよ、春人くん」
「それ嬉しいか?」
「それ嬉しいの?」
TRIGGERと、しばし言葉遊びをした後。私は壮五の元へと戻る。彼とはまだ会話の途中だったのだ。
「本当に大丈夫だよ。少し驚いただけだから。あ、でも、もう人に向けちゃ駄目だからね」
「うん。中崎さんにも怒られたし、もうしない」
環の言葉に、壮五は優しく微笑んだ。それを見た環は、嬉しそうに再び花火の元へ戻って行ったのだった。
再度、私達は並んで座る。
「中崎さんは、ブルース●ーさんの生まれ変わりですか?」
『そう来ましたか。あえて言いましょう。違いますよ と』
真顔で面白い質問を繰り出した壮五は、その後 何度もお礼の言葉を口にした。
『本当に、もういいんです。それより、さきほどの話の続きをしましょう』
「あ…そういうば、お話の途中でしたね」あはは
『貴方が、素晴らしい曲を作る事が出来るのかは、私の知るところではありません。ですから、大丈夫だなんて 無責任な事は言えません。ですが…
私は、貴方が作った曲を 聴いてみたいと思いますよ』
「…中崎、さん…」
『大切な人を想い、作った歌。それを、その大切な人達が歌ってくれる。それが作曲者に、どれほどの喜びを与えてくれるか。
私も、つい最近知ったところなのですよ。ぜひ、この幸せを…逢坂さんにも味わってもらいたいと思います』