第42章 そんなの、私に分かりませんよ
パァァアン!!
——パァン…!
———ァン……
私に踏み潰された花火は、何度かエコーを残した後、完全に消えた。
誰もがあっけに取られて、瞬きすら忘れている。私だけが、今この時も体の自由が効いた。
その足で、つかつかと環の元へ歩いて行く。そして、目の前に着くと真顔で告げる。
『花火を人に向けちゃいけません』
「ご…ごめんなさい」
『もう少しで、大事故になるところだったんです。もし楽達に何かあったら、いくら四葉さんでも簡単に許せませんよ。
何故なら、彼らは私の大切な…!』
「うぅ…っ。ごめんなさぁい!もうしませんー」
目を潤ませる環を前に、はっとした。いくら興奮していたとはいえ、言い過ぎてしまった。
『す、すみません。四葉さんは、もう謝っていたのに…。強く言ってしまいましたね』
「お、俺もごめん!環くんの手を掴んだら、まさか壮五くんの方に照準が向いちゃうなんて…!」
「いや、元はと言えば俺が原因だ。悪かったな。でもま、誰も怪我しなくて良かったよ」
「…っていうか、あの状況で手より足が出るって凄いよね」
『手で触ったら火傷するじゃないですか。嫌ですよ』
環は壮五にも謝罪をする為、彼の元へ駆け出した。
私とTRIGGER3人になってから、彼らはニヤニヤして言う。
「「「………で?」」」
『??
で、とは?』
「決まってんだろ。さっきの続き。お前、何て言おうとしたんだよ」
「 “ 何故なら、彼らは私の大切な…!” の続き。ついさっきの自分の言葉だよ。まさか、忘れたなんて言わないよね」
『……』
「あ、もしかして “ 私の大切な、大好きな人なんですから! ” とか?
はは。照れるなぁ」
『……』
「いやいや、“ 大切な仲間なんですよ! ” とかじゃねぇか?」
「そこはやっぱり “ 大切な友達なんです ” じゃない?」
ニヤニヤとしながら、よくもまぁ好き勝手に言ってくれる。
私がなんと言おうとしたか?そんなのは…
絶対に、教えてやらない。
『もし楽達に何かあったら、いくら四葉さんでも簡単に許せませんよ。何故なら、彼らは私の大切な…
“ 商品なんですからね ” 』
「「「……」」」
『残念でした。正解者は なしです』
私の照れ隠しの言葉を受け、彼らは 信じられない…と。呟くのであった。