第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
「歳の差のせいにだけはすんなよ!
嫌な所があんなら、一生懸命直すけど、歳の差だけは、俺にはどうにも出来ないじゃん!俺とあんたは、一生、10個違いなんだぞ!
それなら、まだ…嫌いって言われた方がマシだ!!」
『嫌い…って、言っていいの?』
「……嘘。やっぱヤダ、無理。死んじゃう」
『うん、ごめん…。私も、タマちゃんを嫌いになんてなれないよ。どう頑張ったって』
うるうると瞳を潤ませる環は、まだ気持ちが高揚しているようだ。私は努めてゆっくり話す。
『でも、やっぱりタマちゃんは子供だよ。
こんなスタンプカードを使って、誰かの恋人になろうとするなんて…』
「だって、それ以外、思い付かなかったんだもん」
『昼間も、Lioが好きだ!とか言っちゃうし…。本人目の前にして、皆んなの前で あぁいう事は言っちゃ駄目でしょう?』
「そんなん!がっくんだって言ってたじゃんか!」
『楽は、私がLioだって知らないんだから仕方ないでしょ?』
「っ、…!分っかんねぇ!!んな事知らない!!」
環は、膝を折り立てて腰を落とした。蹲踞の姿勢を取って、髪をぐしゃぐしゃと荒々しく掻く。
急に低くなった彼を、私は見下ろした。
「だって…!だって おかしくなりそうなんだもん!いつだって、誰にだって、俺はあんたが世界で1番好きだって叫んでないと…
ここが、ぐちゃぐちゃで…痛くて、苦しくて!どうにかなりそうなんだよ!」
環は心臓の前で、シャツをぎゅっと握り込んだ。そして、苦悶の表情を浮かべ私を睨み上げる。その綺麗な瞳からは、ついに雫が溢れてしまう…
『タマちゃん』
まだ幼気な青年が、胸の内を自分の事でいっぱいいっぱいにして、苦しんでいる。
私はどうして良いか分からず、彼と視線を合わせる為 しゃがみ込んだ。