第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
私は、単純だ。
“ あなたが好きだ ”
誰かのこんな言葉で、嫌いになりかけていた自分を 少しだけ許してあげたい気持ちになるのだから。
「そうですか…TRIGGERの皆さんも、誰もご存知ないのですね」
『はい』
「それは、苦しい ですよね」
苦しい。どうして彼女に、それが分かるのだろう。やはり彼女は、他人の心中を慮れるような、優しい子なのだ。
『ええ。そうなんです。
はじめは、こんなに辛くなかったんですよ。自分を偽るのも、彼らを騙すのも。
ですが、少しずつ 変化していった…』
「それは、エリさんと 3人の関係性が 変わったからですか?」
『その通りです。最初は、ただのビジネスパートナーとしか見ていませんでした。それがそのうち、大切な仲間。大好きな友達になった。
そんな彼らを欺き続けるのに、疲れてしまったのかも』
「あの…私でよければ、いつでもお話を聞きます!しんどくなったら、いつでも連絡をして下さい。だから、その…
私達、お友達に なれますか?」
紡は、少し照れ臭そうに私を見上げた。
『…ありがとうございます。実は、私もそれを期待していました。どうぞ、これから末永くよろしくお願いします』
「!!
はいっ」
彼女は嬉しそうに、私が差し出した手を取った。
そして、友達なのだから敬語は必要ない。それから、自分の事はさっきのように紡と呼んで欲しい。
そうお願いされた。
私は承諾するのと同時に、同じ条件を彼女に提示した。それなのに紡は、自分は敬語も使うし 名前の呼び捨てもしないと言うのだ。
それではフェアじゃない。と私が言うと、彼女はまた陽だまりのような笑顔を見せてくれるのだった。