第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
『いやそれより、ごめん。長い時間引き止めてしまって』
「いえ、それは大丈夫です。私、エリさんに秘密を話してもらえて、嬉しかったので」
『…ありがとう。紡。
じゃあ、また現場で会えるのを楽しみにしてるね』
私が、車に乗り込む背中にそう言うと、彼女は あ!と声を上げた。
「そうです、私、これを伝えようと思ってたんです!」
『なに?』
「実は次の現場から、私はMEZZO"の担当を外れる運びになりまして。
今度からは、新しい方がMEZZO"のマネージャーに就任する事になったんですよ」
『そうなんだ…でも、IDOLiSH7のマネージャーは続けるんだよね?』
「はい!なので、IDOLiSH7とTRIGGERさんのお仕事が一緒の時は、またお会い出来ますね」
『そう。分かった。
会える機会が減るのは寂しいけど、我慢する』
「新しいマネージャーは、私が言うのもなんですけど、凄く優秀な人なんですよ!きっと、エリさんとも気が合うと思います!」
『へぇ。それは会うのが楽しみになったな』
「はい!ぜひ、ご期待下さい!」
『はは。まぁでも、どれだけ仕事が出来る人だったとしても、私は紡の方がいいな』
「!!
ま、またエリさんはそういう事を…!」
なんて、楽しげな会話をいい加減に切り上げて、ついに彼女は私の前から離れていくのだった。
どんどん小さくなっていく車を、見えなくなるまで見送る私。
鈍感な私は、気付く事などなかった。
1人の少女の、小さな恋が 終わりを告げたこと。