第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
そろそろ夜が近付いてきた。
この後、花火が待っているわけだが。紡は明日の早朝からアポが入っているらしく、すぐにでもここを出立しなければならないらしい。
が、彼女は全身ドロドロに汚れていた。ちなみに私も同じ状態だ。
なにしろ、山肌をゴロゴロと転がったのだ。全身泥ネズミになるのは当然だった。
とにかく帰る前に順番にシャワーで汚れを落とす事にした。
ちなみに私は、彼女から借りたクレンジングオイルのおかげで、某アニメキャラクターから脱却する事が出来た。
私がシャワーから出て来ると、すぐに彼女は別れの挨拶を口にした。
「では、私はこれで失礼しますね!」
「マネージャーも、一緒に泊まれたら良かったのにな。残念」
「ありがとうございます、環さん。そのお気持ちだけで、私は嬉しいです。
では皆さん、私の分まで花火とお泊り、楽しんで下さい!」
「もうすぐ暗くなるから、運転気を付けてね!」
「はい!お気遣い、ありがとうございます。十さん」
『あ、小鳥遊さん。駐車場まで送りますよ』
「え!いえ、そんな…悪いですよ。私1人で大丈夫です!もう熊も出ないでしょうし」
『確かに熊は出ないでしょうね。でも、私が送りたいんです。ほら、行きましょう』
恐縮そうにする紡を、私は強引に外へ連れ出した。
「…春人くんって、もしかして…彼女のこと、好きなのかな」
「いや、それは無いだろ。……多分」
「そうでしょうか?僕はあの2人、とてもお似合いだと思いますよ」
「ない。それは、ぜってーー、ない」
「なんで四葉にそんな事が言い切れるんだ?」
「……ぜってーないから」
(これがヤマさん相手だったら、えりりんは女だから。の一言で片付くのに!!)
「ボクも、ないと思う」
「おお!てんてん話分かるー」
「てんてんって呼ばないで。
プロデューサーは、彼女を絶対に好きにはならないよ。でも…彼女の方は、分からないけどね」