第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
私達は協力体制で、不良の愚行を隠すことにしたのだ。
「2人とも!ここにいたのか!見つかって良かっ…。って、ええ!?っ熊!熊じゃないか!どうして熊が倒れてるんだ!?待って待って、どういう事!?」
「た、大変だ…!すぐに連絡しないと!
え?でも、どこに?警察!?それとも討伐隊の人達に!?」
龍之介や壮五も、不慮の事態に慄いている。
この場には楽や天もいて、2人と同様に驚いた様子を見せていた。
そんな中、環の姿だけが見当たらなかった。まさか大人しく留守番か?と、不思議に思っていると…彼の声が、頭上から聞こえてきた。
「おーーい!2人とも大丈夫ーー?!」
ズザザと坂の上から滑ってくる環を見て、私と紡は目を剥いた。
環が、赤い甲冑姿で現れたからだ。
『な…っ、なん』
「環さん…その、格好は」
環は、ガッチョン。ガッチョン。と音立てながら、1歩 また1歩とこちらへ近付いてくる。
「これな、コテージにあった奴!!これで、熊が襲って来ても俺 無敵だから!2人のことは、俺が守ってやんよ!」
「ボクは一応止めたからね」
重たい甲冑に苦戦しながらも、懸命にこちらへ歩いて来る環。足を踏み出す度に、ガッチョン。ガッチョンと、まるでテレビゲームのSEだ。
だが、急ぐあまり足元にあった石に躓いてしまう。着慣れないそれのせいで、顔面から転けてしまったのだ。
「〜〜〜っっ、いってぇー!いてぇよ!そーちゃーん!!俺のおでこ、どうなってる?皮ずりむけた!?血ぃ出てない!?」
「だっ、大丈夫だよ環くん!兜を被ってて良かったね」
『…ふ、ふふ…。あはは、あはははっ!』
「おい…春人が壊れたぞ」
「…あはは。あはははっ」
「う、うちのマネージャーも…壊れちゃいました」
私と紡は、一気に緊張の糸が切れてしまったせいか。2人して高笑いをしてしまうのであった。