第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
私は、ゆらりと立ち上がる。不良達は、また小さく悲鳴を上げた。
熊にも立ち向かう男に、なす術なし。といったところだろうか。今にも泣き出しそうな表情だ。
『悪戯で、済む問題と済まない問題が、あるでしょう。あんたらが馬鹿やったせいで、討伐隊まで結成されてんですよ?
こんなところで、こんな格好してたら…頭撃ち抜かれても文句言えないよなぁ?おい』
ゆらゆらと上半身を揺らしながら歩くと、額に巻いてあった包帯が、しゅるりと解ける。もしかすると、さきの騒動で緩んでいたのかもしれない。
そしたら当然、私の額に書かれている “ 肉 ” の文字が露わになるわけである。
「ひ…ひやぁぁあ!こっ、殺される!キ●肉マンに、殺される!キ●肉マンーー!!」
「助けて!助けて助けてーー!きゃあああ!」
男達は、目にも留まらぬ早業で この場から逃げ出したのであった。
『…信じられない。あいつら、仲間を置いていきましたよ』
「本気で…殺されると思ったんでしょうね…」
『はぁ…政府が許すなら、本当に殺してやりたいですよ。それに、この人どうするんですか。まさかこのまま捨てて置く訳にもいかないですよね。面倒ですけど、運ぶしかないか…』
私と紡は、精も根も尽き果てていた。呆然と、残されていった熊もどきを見下げる。
その時。
「おい!!春人ー!どこだ!」
「マネージャー!いたら返事して!」
私と紡は、ばっと顔を見合わせる。そして 申し合わせた訳でもないのに、2人で熊の頭部を不良の顔に被り直させた。
『この馬鹿のしでかした事が、もし天に知れたら…!怒り狂った彼に、この人達は一体どんな目に遭わされるか!それこそ殺されるかも…!』
「っ、環さんと壮五さんもっ、きっと大いにお怒りになるかと…!」
私達の心は、ひとつだった。