第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
『分かりました。小鳥遊さんの事は、プロにお任せしましょう。討伐隊が見つけてくれると信じますよ』
「当たり前。いくらキミでも、熊に勝てるわけないんだから」
『ですね。ただ、少しオーナーに確認したい事があるんですよ。おそらく、まだその辺りにいるでしょう。今すぐに追えば合流出来るはずなので、少し行ってきます』
「は?それ、今じゃなきゃ駄目なの?」
『ええ。この熊騒動に関係することですから。ただ、貴方達は絶対にコテージから出ない。絶対ですよ』
「…熊鈴、コテージ備え付けのがあったはずだよ。持って行きなよ」
『熊鈴は、人の味を覚えた熊や 人を襲った事のある熊を、逆に引き寄せてしまうこともあります。だから、お気持ちだけで』
「そう。分かった。すぐに戻って来るんだよね」
『約束します』
「信じるよ」
『はい。天は、皆さんの事を よろしくお願いしますね』
私は、心の中で天に謝罪をした。
平気で嘘の約束を交わしてしまう私を、彼はきっと許してはくれないだろうが。
コテージを飛び出したら、すぐに全速力で駆け出した。オーナーを追う事はせず、駐車場へと一直線に。ただ、走った。
「……キミが、ボクとの約束を守らないのなら…こっちだって、キミの言う事をきく必要はないよね。
いつだって自分勝手なキミだから。ボクの方も勝手にやらせてもらうとするよ」
「おい天。春人の奴どこ行ったんだ?」
「さっきまで声がしてたような気がしてたけど…」
「ん?中崎さん、どっか行っちゃったのー?」
「そういえば、マネージャーも見当たりませんね」
「…聞いて。話が、あるんだ」