第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
紡を見送り、コテージへと入った私達。他のメンバーは2階にでもいるのだろう。
ここには、私と天の2人きりだ。
『小鳥遊さん、お気の毒に。あんなに責任を感じなくても大丈夫だと思いませんか』
「キミのその気の毒な姿を見たら、責任も感じるでしょ」
『そんなに酷いですか?でもべつに、一生落ちないわけでもない…。それに こんなのは隠してしまえば、さほど問題ではないでしょう』
「隠す?」
私は、コテージ備え付けの救急箱を開ける。そして、包帯を取り出した。それを額に巻き、後頭部で固結び。余った丈を後ろへ流した包帯は、背中の位置ほどにまで届いていた。
『どうです?』
「どう見ても、白組応援団長」
『感想は聞いていませんよ。ちゃんと肉の文字が隠れているのかを聞いてるんですけど』
そんな話をしているところへ、コテージの扉が勢い良く開かれる。
私達は、入って来た人物を見て ぎょっとした。何故なら、ドラマやアニメなどでしか見た事のない、猟銃を背負っていたから。
「おぉ…驚かしてしもうたな。すまんすまん」
『オーナーさん…』
「あ、オーナーさん…なんだ」驚いた
彼がここのコテージの管理人だ。それを知らなかった天は、私の何倍驚いた事だろう。
彼は、謝罪を終わらせるなり、堰を切ったように話し始めた。
「実は、熊の目撃情報があっての」
「『熊!』」
「近所に住む猟友会の男共で討伐隊を結成して、捜索しとるところでな。だがまだ見つかっておらん。あんたらは、このコテージの2階に集まって、決して外へ出んでくれ!」
分かったな?と念を押して、オーナーはまた慌ただしく外へ飛び出して行った。
再び2人きりになった私達は、互いの顔を見合わせた。