第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
「お前らは駄目だな。全然駄目だ」
「ふぅん。自信満々だね」
「期待してるよ!楽!」
仲間の応援に気を良くした楽は、不敵に口角を歪める。そんな彼が、ポケットから取り出したのは…
「やっぱ悪戯と言ったら…これだよなぁ」ニヤ
「ペンか…あ、じゃあきっと落書きだ!」
「ベタ」
「うっせぇ!」
ペンを取り出した楽は、意気揚々と春人の足元側に移動する。そしておもむろに布団をめくって、ズボンの裾に手をかける。
すると急に、その様子を見ていた環が焦り出す。
「ちょ!ちょっと待てって!それ何してんの!がっくんのえっち!!なんでズボン脱がしてんだよ!」
「ボクもそれは反対」
「はぁ?なんだよお前ら。そんな事するわけねぇだろ。そうじゃなくて、ここをこうして…」
楽は、パンツスーツの裾を、くるくると折り曲げていく。やがて、彼の膝が露わになった。
すると楽が、突然ピタリと手を止めた。
「……ん?」
「ど、どしたん?がっくん…」ドキドキ
深刻そうに、まじまじと春人の脚を見つめる楽。不自然に思った僕達も、彼に倣って 同じ箇所を見つめた。
「こいつ…なんか、ツルツルだな」
「本当だ…毛が薄いとかいう範疇をこえてるよ…綺麗ですらあると思」
「「まじまじ見るな!」」
なぜか、環と天が綺麗に声を揃えて叫んだ。この2人がハモるというのは、すごく意外だった。
「まぁいいか。そんな事より続き、と」
楽は気を取り直し、ペンのキャップを開ける。そして春人の膝に、こう書いた。
《 小僧 》
「……っ、ちょ…楽、膝に、膝小僧に、小僧って…!ふっ、」
「どうだ龍。会心の出来だろ?」
「っふ、ふふ…馬鹿みたい…」
「そういうてんてんも、めっちゃ笑ってんじゃん」
「っあは…ははっ、た、環くんは、可笑しくないの?」
全員が笑いを堪えている中、環だけは 飄々としていた。そんな彼は、自慢げにこう言った。
「ぜんぜん?だって、俺のがもっと面白い落書き出来るし」