第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
「っ、」
(どうか負けませんように どうか負けませんように どうか負けませんように!!)
なんて、思っていると不思議なもので…あっさりと負けてしまうものである。
「じゃあ、逢坂壮五からね」
「うぅ…はい、分かりました」
「そーちゃーん、ふぁいとー」
こうなったら、出来るだけ春人に迷惑のかからないような、軽い悪戯で終わらせてしまおう。
トップバッターを見つめる、彼らのキラキラした瞳。4人の期待は裏切ってしまうが仕方ない。
僕は、冷蔵庫から取ってきたタバスコの蓋を開けた。そして、春人の下唇を軽く引っ張る。
「お、おいおいおい!!」
「壮五くん!?」
「そーちゃん!あんた一体なにしようとしてんだよ!」
「え、何って…タバスコを一滴、口の中に入れるんだよ?軽すぎる悪戯だと、やっぱり駄目だったかな?」
「それ、軽い悪戯じゃなくて、辛い悪戯だから」
「天!上手いこと言ってる場合じゃないだろうが!」
「そうだよ!寝てる人間の口の中にタバスコは危険だろう!どう考えても!」
春人は、さきほどのカレーを完食していた。従って、味覚は僕と近いと思う。で、あるならば、タバスコくらいならば辛い内に入らないと思うのだが…
「そ、そうでしょうか…僕は多分、寝てる間にタバスコを口に入れられても起きないと思いますけど」
「それ、そーちゃんだけだから…」
「はは…これがテレビだったら、いま壮五くんの下にテロップが出てるだろうね」
「彼は、特殊な訓練を受けています」
「あはは。そうそう、いま天が言った奴そのまま流れてるよ。きっと」
「とんでもねぇな、逢坂は…」
ありがたい事に この流れで、僕のターンは終了したらしい。