第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
「…気持ち良さそうに寝てる奴見ると、何か悪戯してやりたくなるよな」
「それは楽の性癖が特殊過ぎるんじゃない?」
「そうかな?俺はちょっとだけ気持ち分かるけど!」
……えーと…。
TRIGGERは…彼を、大切に想っている はず…だよね、多分。
僕は、さっきまで自分が持っていた考えを 少し疑った。
これは、いわゆる あれだろうか。好きな人ほどイジメたくなる。的な奴だろうか?
3人は、先ほどまでの柔らかな表情から一転。なんとも悪そうな顔をして、妖艶に微笑んでいた。
「中崎さんの事いじめるような奴らは、俺が全員ぶっとばしてやんよ!」
「環くん…偉い、偉いよ!」
「なんだよ四葉。さてはお前ビビってんだろ。やっぱお前みたいな無鉄砲者でも、春人は怖いか?」
「はぁ!?全っ然ビビってねぇし!怖くねぇし!」
「なら、キミも参加ね」
「お、おう!見てろよ、俺の悪戯っぷり!」
TRIGGERの巧みな話術で、あっという間に環は あちら側へと吸収された。
「壮五くん。壮五くんも…勿論、参加だよね?」
「え…。で、ですが僕は…その」
「参加、だよ ね?」
「は、はい…謹んで、やらせていただきます」
龍之介の、悪魔さえも従わせてしまいそうな笑顔。当たり前だが、僕なんかでは なす術がなかった。
こういう時、皆んなを止めてくれる存在は 僕達のマネージャー。小鳥遊紡だろう。しかし運悪く 彼女は今、席を外している。どうやら、事務所から緊急の要件で電話が入ったらしい。あの切羽詰まった感じでは、しばらくは帰ってこまい。
「よし。じゃあ、じゃんけんで負けた奴から順番にやっていこうぜ」
「1番 過激な悪戯に成功した人が勝ちね」
「うす。俺が勝つ!」
「なんだか、ワクワクして来ちゃったなぁ」
…果たして、彼の命運はいかに。